松島基地 オリンピック聖火到着式 TOKYO2020号&ブルーインパルス五輪マーク

2020年3月20日、ギリシャ アテネで点火されたオリンピックの聖火が日本にやってきました。史上初めてのJAL&ANA共同運航による聖火特別輸送機「TOKYO 2020号(ボーイング787-8 JA837J)」が宮城県の航空自衛隊 松島基地に飛来。併せてブルーインパルスが五輪マークなどを描く展示飛行を実施しました。会場の様子を写真で紹介です。

航空自衛隊 松島基地へ

聖火が到着するのは、東日本大震災で被害を受けた宮城県東松山市の航空自衛隊 松島基地。ブルーインパルスの本拠地として有名です。東北に到着した聖火は、しばらく宮城や岩手などで展示されたあと、福島県から聖火リレーがスタートします。

聖火到着式典は、関係者以外は基地内に入れません。よって外周から眺めることになります。本来なら地元の小学生など一般人1,000人が招待されていましたが、コロナウイルスの感染拡大に伴い、関係者と報道陣のみの式典となりました。

ブルーインパルスハンガー前の堤防は、御覧の通り大勢の人。昨日の予行演習はこちらから撮影しましたが、今日は反対側の堤防から。

堤防沿いのパークゴルフ場の駐車場が無料で開放されていました。ありがたいです。県外ナンバーが多数。航空祭なみに気合を入れて早朝からやってきましたが、満車になることはありませんでした。

朝の空は曇りでしたが、式典が近づくにつれて晴れ間がのぞきこむお天気。ただし、ものすごい強風。東北新幹線が運転見合わせになるほど。風速20メートル超え。普通の航空祭ならまず飛行機は飛びません。

ブルーインパルスのハンガー

ブルーインパルスハンガー前に並ぶT-4が12機。聖火が松島基地に到着することが発表された際、ブルーインパルスの飛行については触れられていませんでしたが、ブルー本拠地の松島に飛来しておいて展示飛行無しなんてことはないだろうと飛行機ファンの皆さん最初から予想されていました。

第11飛行隊のアクロ仕様T-4の定数は9~10機のはずですが、この式典で予備編隊も併せて12機で飛ばすために、アクロ仕様12機+メトロが配備。ただし#692はIRANで不在のため1機はノーマル仕様。2013年の予算申請から始まったT-4の戦技研究仕様機化改修も、2020年2月27日の#663の配備をもって10機すべて完了。

T-4ブルーインパルス 現役・用途廃止 機体リスト

2019.04.26

この12機が並ぶ絶景は、初期からの#731と#745、改修機の配備完了が重なる今しか見れません。

式典スペース確保のためか、ブルーインパルス格納庫内には21SQのF-2Bが一時的にどかされていました。

TOKYO2020号

聖火の輸送を担当するのはJALとANAの共同運航便。機体にはどちらのエアラインのロゴが描かれています。機材自体はJALの機体で3月3日頃に運航から外れて、成田で塗装されました。3月15日にハンガーから出てきて、17日に羽田にフェリー。18日にアテネへ向けて出発しました。往路はJL1964、復路はJL2020。

式展開始は11時からですが、強風のため9時半ごろにはもう聖火特別輸送機が宮城県上空に。上空でホールドするのかと思いきや、降りてくるようです。

RWY25にPARアプローチ。相手は民間機ですがILSはありませんのでGCA管制。松島基地は軍民共用の飛行場ではないので、民間の旅客機が下りてくるのは大変珍しいことです。

1964年の東京オリンピックでは聖火輸送を国産旅客機YS-11が担当しました。今回はボーイング787-8を使用。MRJ(スペースジェット)が間に合っていれば、MRJも候補になりえたのでしょうか。

JA837J、元ドラえもんジェット。その後は通常塗装で、おもにヨーロッパ路線を担当。どの機体が聖火輸送機になるのか発表されていなかったので、しばらく運航から外れていたJA826J、JA836J説など情報が錯綜していました。

後から展示飛行を行うブルーインパルスと同時に撮影。

機首には聖火リレーのピクトグラム。「TOKYO 2020 OLYMPIC TORCH RELAY」と「Hope Lights Our Way」の文字。

強風の中、まさかのダイバードかと危惧されましたが、無事に松島基地へ到着。一発で着陸を決めました。

遅れて予備機のJA840J JL8922 もアテネから飛んでましたが、そちらは直接成田へ向かいました。

松島基地のエプロンでは、出迎えの準備。ただ、まだ式典が始まっていないので、出迎えや中継は無し。予定より1時間半早く到着しました。

ゆっくりとエプロンへ。

機体の右側面。左側面と同じ塗装。

エプロンへ到着。誰が下りてくるでもなく、ここでタラップを取り付けて待機となりました。

パイロットやキャビンクルーは当然JALが担当していたのでしょうが、グランドハンドリングもJALのスタッフ。ANA要素はどこに?

タラップは他の空港から一時的に松島基地へ運ばれてきたものです。こちらにもオリンピック用の塗装が施されています。たまにKC-767が下りてくるぐらいのこの基地に、旅客機用の設備はありません。入国審査とかどうなってるんでしょう。

強風

基地周辺、弱まる気配が全くない強風。周りの脚立や三脚が飛ばされ、土煙が舞い車やカメラが砂まみれに。立っているのもやっとで、台風並み。眼鏡無しでは目も明けていられません。

写真では天気がよさそうに見えますが、現地は絶望的な雰囲気でした。あきらめて車に戻る人らも。Twitterではソース不明のブルーインパルス中止なんて情報が出る様子。

ブルーインパルス離陸

そんな強風の中、11時前にブルーインパルスがエンジンスタート。電源車は12機分無いので、6機づつの始動。

キャノピークローズ。誰もがブルーインパルスは中止だと思ったでしょう。普通の航空祭だったら絶対に飛びません。それほどこの式典が重要なイベントのようです。

12機のT-4は、6機づつのチームに分かれます。機体はともかく、TRを含めてもパイロットが足りてませんので、ブルーインパルスOBの上原MUSHAさんと山崎BLADEさんが一時的にチームへ復帰しました。

A編隊。A1 #787、A2 #666、A3 #745、A4 #731、A5 #790、A6 #686。コールサインは「ブルーインパルス アルファ」。1番機 全席 福田TETSU隊長、後席 遠渡 CHERRY次期隊長。

#666が2番機。6番機以外を務めることろを初めて見ました。

ちなみに#745は、このフライトがラストフライトとなり、退役しました。初期からの機体、残るは#731のみ。

B編隊。B1 #752(ノーマル仕様)、B2 #663、B3 #694、B4 #693、B5 #690、B6 #697。コールサインは「ブルーインパルス ブラボー」。#692がIRAN中(?)なのか居ないので、メトロのT-4が隊長機を務めます。五輪マークもリーベネも1番機はスモークを出さないので、特に問題はない様子。1番機 全席 海野GON飛行班長、後席 次期飛行班長 平川JACKYさん。隊長、TRの隊長、飛行班長すべてが空に上がっていたので、ブルーコントロールは開局せずオペラが地上で指示。

いったんRWY25に入りましたが、北西風なのでRWY33からの離陸となりました。

12機それぞれがインディビジュアル ノーマルテイクオフ

聖火到着式

エプロンでは式典が始まりました。この距離では様子がわかりませんし、アナウンスも聞こえないので、スマホでNHKを見ながら状況を確認。

ブルーインパルスはその間、上空待機。無線聞いてると何やら報道ヘリが撮影場所の高度をめぐって管制官と交渉中。

本来アテネから聖火を運ぶはずだったレスリングの吉田沙保里選手と柔道の野村忠宏選手がタラップを上がります。機体の横にはJALとANA両方のクルー。

機体のドアが開き、聖火が灯されたランタンを受け取りました。撮影場所から機体まで1km以上離れているので鬼トリミング。

サンドウィッチマン石原さとみの姿が、かろうじて見えました

森喜朗の話の間、ブルーインパルスが上空待機。終わりを見計らってオリンピックシンボル ゴーポジション。

聖火をトーチから聖火皿に移します。

五輪マーク

そのタイミングに合わせて、アルファ編隊がオリンピックシンボル スタート。

高度5000フィート(1500メートル)。1つの円の直径は1200メートルほど。2~6番機がカラースモークで、円を描きます。1番機はスモークは出しませんが、同じように一周しています。サクラと同じ。カラースモークはこの式典に合わせて、20年ぶりに復活しました。

会場周辺、かなりの強風。残念ながらスモークはすぐに流されてしまい、はっきりを五輪マークを見ることはできませんでした。写真の彩度とコントラストを上げてかろうじて。でも、誰もが中止だと思ったこの強風の中で、しっかりと円を描いてくれました。

前日の予行の写真。風さえなければ、このカラー版が見れたはず。

松島基地 オリンピック聖火到着式ブルーインパルス五輪リハーサル

2020.03.19

リーダーズベネフィット

五輪から1分半後、ブラボー編隊が会場上空へ

リーダーズベネフィット隊形でフライバイ

1番機はノーマル仕様。後ろのアクロ仕様2~6番機がカラースモークで五輪の色(黄、青、緑、赤、黒)を再現。

カラースモーク、海外エアショーではよく見ていますし、海外のアクロバットチームでは珍しいものではありませんが、ここまでカラフルなチームはそうありません。この式典だけではなく、今後の航空祭でも使用してほしいものです。

ニュース映像やオリンピック公式アカウントの映像では、風で流されてしまった五輪ではなくこちらの映像が主に放送されていました。

着陸

予行で2回ほど行われた11機の大編隊は無し。離陸と同じRWY33へ着陸。

相変わらずの強風なので、仙台空港へ代替着陸になるのではと心配しましたが、B編隊5番機が1回ゴーアラしたぐらいで、全機無事に着陸しました。

TOKYO 2020号 成田へ

周辺の道路は混雑。駐車場から出る車列は全く動かず。基地外周で待機。13時50分ごろ、787が成田空港に向けて離陸していきました。結局入国審査はどこでやったのでしょう?

この塗装、すぐに剥がされるそうです。

聖火は石巻へ

松島基地からサンドウィッチマンの二人が、専用のマイクロバスで聖火を運び出しました。

石巻南浜津波復興祈念公園で一般公開もされたので、ついでに見てきました。

聖火を運んできた二人。火がつかないトラブルのため、ショートコントで場つなぎしてました。

オリンピック開会式

オリンピック開会式は夜の開催なのでブルーインパルスのフライトはありませんが、当日の関連行事で東京上空をブルーインパルスが飛行する可能性があります。今のところ都庁や東京駅などが候補に挙がっているようです。1964年の東京オリンピック、SAYONARA 国立競技場 FINALのように、また都心上空をブルーインパルスがフライトするかもしれません。

ただし前述のように#745は退役、#731のフリートも残りわずかなので、今日のような2チーム体制のフライトとなるかは不明です。