F-35テストフライトの撮影【小牧基地(県営名古屋空港) 】

航空自衛隊に配備されるF-35A/F-35Bのうち、5号機以降は小牧基地に隣接する三菱重工 小牧南工場にあるFACO(Final Assembly and Checkout)で製造されています。年間約6機のペースで生産しており、ロッキードマーティン製造分の4機を除くA型101機、B型42機を製造する予定です。小牧で生産されたF-35のテストフライトの様子や撮影ポイントを紹介します。

小牧FACO

小牧FACO(Japan FACO)は小牧基地向かい、名古屋空港横に位置する三菱重工 小牧南工場にあります。MRJ(スペースジェット)の生産拠点は外から丸見えですが、こちらの工場は厳重な警備が行われており、三菱の社員であっても部外者は立ち入れません。

F-35の生産拠点は、本場テキサス州フォートワース工場の他はイタリアの「カメリFACO」と、ここ「小牧FACO」のみ。今後は自衛隊のみならずアジア・太平洋地域のF-35の整備拠点MRO&Uとなります。

F-4やF-15の時とは異なり、ライセンス生産ではなく、ロッキードマーティンの下請けという扱いになります。三菱重工が製造していても、ロッキードマーティンが最終的なテストを行い、一度アメリカ軍に納品されてから、自衛隊に引き渡されます。

テストフライトを見る

自衛隊への納品までに約4回のテストフライトが行われます。フライトの日時は事前に告知がないので、何時かはわかりません。1度フライトすると近日中に2回目、3回目のフライトがあるので、1回目のフライトが目撃されると翌日以降は周辺の撮影ポイントに人が増えます。

それぞれの機体の初飛行の日はこちらから。

航空自衛隊 F-35機体一覧

2020.10.15

テストフライトは主に自衛隊のJ空域(岐阜・富山上空)で行われるため、小牧基地上空が晴れでもJ空域の天候が悪い場合はテストフライトは行われません。

たまにF-35のテストフライトがTwitterで話題になると、「小牧にF-35配備されてるの?」と勘違いされる方がいらっしゃいますが、小牧基地にはF-35どころか戦闘機は配備されていません。あと小牧と小松を間違える人もちらほらといます。

F-35のテストフライトがある日は、名古屋空港のデッキにいると、三菱重工側からエンジンの始動音が聞こえてきます。音だけで機体は見えません。

三菱重工小牧南工場にIRAN入りしているF-15、F-2の可能性がありますが、エンジン音で聞き分けましょう。エンジン音で機種聞き分けのスキルが無くても、始動音が1つか聞こえなければ、単発であるF-35かF-2の可能性が高くなります。ちなみにF-4のIRANはもう行われていません。

離陸

三菱重工のカンパニー無線から「ランプアウト」と聞こえてくると、ほどなくしてF-35が出てきます。

F-35のテストフライトは岐阜基地のADTW(飛行開発実験団)や三菱重工の日本人テストパイロットではなく、ロッキードマーティンの外人テストパイロットが行います。そのため無線からは流暢な英語の発音が聞こえてきて、他の日本人英語と容易に区別がつきます。

名古屋空港は大抵RWY34運用ですが、南側への移動に名古屋空港側のW誘導路は使用しません。

一度滑走路をクロスして自衛隊側のG誘導路をタキシングします。

自衛隊側の誘導路から滑走路に入ると、滑走路の端まで移動します。

Uターンのときに、エアポートウォーク駐車場からは、機体の真正面が撮影できます。シャッターチャンスです。航空祭で展示される時はエアインテークにカバーがかけられますから、内部を覗く機会はそうありません。といってもエンジンブレードは露出していませんが。

配備先の三沢ではこんなに近くから撮影できないので、小牧ならでは。エアポートウォーク駐車場から距離およそ300メートル。

エアポートウォーク駐車場はフェンスの高さがそれなりにあるので、1メートルぐらいの脚立が必要です。

滑走路端で待機。

すると岐阜基地からADTWのチェイス機が飛んできます。このチェイスの手順、岐阜基地航空祭でよくデモがあるあのパターンです。1回目のフライトではチェイス機が随伴しますが、2回目からは単機で離陸します。

滑走路上空でブレイク。速度処理。

チェイス機がファイナルについたタイミングで、F-35が離陸滑走を始めます。

離陸ではアフターバーナーを使用

中日本航空の格納庫前らへんで離陸

空港デッキ側から撮影

試験機のテストフライトでは車輪を出したままフライトすることがありますが、F-35は1回目のフライトから車輪は上げます。

1回目のテストフライトでは、このあと岐阜基地でタッチアンドゴーが行われます。

チェイス機はこの距離を飛びます。

小牧基地のILSが長期点検中だった2019年後半、AX-16~AX-18のILSテストは小松基地のRWY06で行われました。この時シミュレーションアプローチのみでタッチダウンはしていません。

ステルス機ですが、普段はレーダーリフレクターを装着しており、普通にレーダーに映ります。デパーチャーやアプローチも通常通りレーダーコンタクトをコールしてきます。

着陸

TAC部隊の訓練なんかは1時間ほどでRTBしてきますが、F-35は増槽無しでも大量の燃料を積めるのか2時間ぐらいフライトしてから小牧に帰ってきます。

2回目以降は随伴機無しでオーバーヘッドアプローチ

RWY34アプローチエンド近くのエアフロントオアシスから撮影。

エアフロントオアシスはF-35のフライトがある日は駐車場がいっぱいです。徒歩数分の距離にあるタイムズ駐車場を利用しました。

3rdのフライトでは夕日に照らされたF-35が撮影できます。移動すれば真下からも撮影ができるでしょう。

こちらはエアポートウォーク駐車場から撮影。

テスト飛行を終えると、三菱重工の工場へ戻っていきます。

テスト後は自衛隊に引き渡され、302飛行隊のパイロットが三沢基地へフェリーします。尾翼のオジロマークは三沢基地で入れられます。