マレーシア ランカウイLIMA19 エアショー開催レポート・行き方ガイド

2019年3月26日(火)から3月30日(土)、マレーシア・ランカウイ島で開催されたLIMA19 (Langkawi International Maritime and Aerospace Exhibition ランカウイ海事航空展覧会)へ参加してきました。一昨年に引き続き、2回目の参加です。ツアーは利用せず、個人旅行です。

マレーシア軍は西側・東側の兵器をバランスよく配備しており、主力戦闘機はSu-30MKM。このLIMAではアジアから出ることなく「スホーイ」のフライトを楽しむことができます。

会場への行き方、プログラム、展示機、会場の雰囲気を紹介します。

LIMAは2年に1度ランカウイで開催される航空機や各種軍用機の展示会、海軍の国際交流イベントです。火曜日から木曜日までが主にビジネス客をメインとしたトレードデー。金曜、土曜が入場券を購入することで誰でも入場できるパブリックデーとなっています。土日じゃないので注意。マレーシア空軍の「F-18D」や「Su-30MKM」の他、ロシアのフランカーによるアクロバットチーム「ロシアンナイツ」やタイの「グリペン」など欧州機を見ることができます。シンガポールエアショーと交互に開催されます。

ランカウイ島は日本ではあまり聞き慣れない島かもしれませんが、マレーシアとタイの国境近くに位置するリゾート地で、美しいビーチや各種アクティビティが楽しめます。有給に余裕があれば、エアショー観覧とセットで楽しんでもいいでしょう。島の治安もいいので、必要以上に怯える必要もありません。

ランカウイへは日本からの直行便は無く、首都クアラルンプールからマレーシア航空やエアアジアを利用してアクセスします。木曜日の夜行便で羽田・成田・関空からクアラルンプールへ移動。金曜、土曜の2日間エアショーを楽しんで日曜日に帰国するプランでは、有給を1日~1.5日取得すれば事足ります。飛行機代は春休みシーズンなので少々高くなりますが日本-マレーシア往復で6万円~。ホテルはピンきりですが1泊5,000円~30,000円といったところでしょうか。現地の物価が安いので、トータルの旅費は10万もかかっていません。

マレーシア航空MH71 のA350で成田からクアラルンプールへ。首都クアラルンプールからランカウイまでは、エアアジアのAK6308 KUL-LGK便に乗り継ぎ。LCC乗りたくないマンなので出来ればランカウイへの国内線もマレーシア航空を利用したかったのですが、今年はちょうどいい時間帯にフライトがなく、やむを得ずエアアジアを利用。1時間ちょっとなので、いいかなと。

金曜日の午前8時頃にランカウイ島に到着。LIMAのメイン会場はランカウイ国際空港なので、機体から降りるとすぐにロシアンナイツがお出迎え。

エプロン突っ切ってLIMA会場へ向かうわけにはいかないので、ちゃんとターミナルビルへ入ります。2年前とずいぶん雰囲気が変わりました。拡張工事が行われたようです。ここでリンギットを5,000円分ほど両替。成田空港では1リンギット=約31円でしたが、ランカウイでは約27円でした。

空港内のバーガーキングで朝食。ここでトイレも済ましておきましょう。マレーシアの現在の公用語はマレー語ですが、どこでも英語が通じます。こちらは片言の英語でも問題ありません。

LIMAの会場はランカウイ空港南側の展示ホール「Mahsuri International Exhibition Centre(MIEC)」ですが、午前中は逆光になります。下の地図の2箇所が主な撮影ポイントとなっています。この撮影ポイントからなら、ビジネスデーでも会場に入場せず撮影を楽しめます。

国際免許をお持ちの方は、レンタカーを利用してもいいでしょう。ランカウイは日本と同じ右ハンドル-左側通行なので運転しやすいそうですが、私は海外で車を運転する度胸は無いので徒歩とタクシーで過ごしました。

荷物はすべてリュックの中。スーツケースは持ってこなかったので、ホテルには寄らずに空港に降り立ったその足で、撮影ポイントに向かいます。空港からRW21アプローチエンド沿いを、25分ほど歩きます。タクシーなら5分ほど。

レンタカーの方々は滑走路沿いの道に路駐しています。

午前10時前。撮影ポイント①に到着。安心してください、日本人が大勢居ます。

屋台も多数並んでいます。グッズ販売や食料、ドリンクなど。

このスタイルが、一般的なランカウイの屋台のようです。あちこちで見かけます。

このジュース飲んで過ごしてました。一杯2リンギット(60円)。LIMA期間中のランカウイ島は最高気温が32℃。日差しも強いので、熱中症対策は必須です。でも周りにトイレはありません。

この裏手ポイントからの眺め。滑走路奥にLIMAの会場が見渡せます。微かにアナウンスも聞こえます。

この撮影ポイントからは、タキシングや離着陸する航空機が目の前で楽しめます。離着陸で方向が逆になる運用で、離陸はRW21、着陸はRW03を使用。風向き関係なく(?)必ず海側へ離陸し、海側から着陸するような運用です。

10時頃、最初のフライトが始まります。当日入りの予定なら、10時までに撮影ポイントに到着する予定を組むといいでしょう。早速Su-30MKMが3機と、スペマを含むF-18D 2機の5機がタキシング。

計5機の戦闘機が上がりました。

まずはSu-30MKMが3機編隊でフライバイ。ご挨拶。

F-18Dはスモークの代わりに燃料を投棄して軌跡を描きながらバレルロールを行うという、離れ業を披露

F-18Dは、日本の航空祭では見られないであろうフレアを大量に使用します。

TUDM(Royal Malaysian Air Force – マレーシア空軍) のホーネットはアメリカ軍機とは異なり黒っぽい塗装。撮影が難しいです。

Su-30MKMがコブラで急減速。そのまま頭上をゆっくりと通過。

東西機混合の激しいデモフライトをいきなり見せつけられました。これを見れただけで、遥々ランカウイまで来た甲斐があったというものです。

続いてLIMAでは初お披露目となる、インドの国産戦闘機「テジャス」です。

スモーク発生装置を取り付けてのフライトです。

日本の航空祭ではブルーインパルス以外の飛行機で曲技飛行(宙返りや90度以上のバンクなど)は行われませんが、ここではそんな制限はありませんので、戦闘機のフライトも迫力あるものが楽しめます。

フライトはテキパキと進行

ロシアンナイツ(ルースキエ・ヴィーチャズィ)のSu-30SM

ランカウイに展開したのは5機。1機は予備機でフライトは4機編隊で行うようです。

アクロバティックな動きは少なく、大型を用いた優雅な編隊飛行がメインなのですが、それがフランカーというだけで映えます。

ロシアンナイツといえばスモークの代わりにフレアを使用することで有名ですが、LIMAではフレアは使用しません。

撮影ポイント①からは、会場裏手ということもあり、機体の背面が撮影しやすくなっています。

次はロシアのYak-130

ロシアの複座ジェット練習機/軽攻撃機です。イタリアのM-346の親戚。

地上滑走の際、インテークに蓋をします。可愛らしい航空機です。

インドネシアのアクロバットチーム「ジュピター」

韓国製の練習機「KT-1」を使用します。2年前は韓国空軍のブラックイーグルスが参戦していましたが、今年は無し。

スモークを使用する2機以上のアクロバットチームはこのジュピターのみとなりました。

マレーシア空軍のエアバスA400M輸送機。

C-2と比べてこちらは売れっ子です。C-2も持ってくればよかったのに。

PC 7 MKII

F-18Dのソロフライト

ロシアンナイツSu-30SMのソロフライト。ロシアンナイツとしてのデモフライトだったのか、Su-30SMのデモフライトをロシアンナイツの機体を使用し実施したのかは不明。

エクストラ。Challenger 88。以上で午前中のフライトは終了となりました。2時間、密度の高いフライトです。

午後のフライトは14時半から。2時間半の昼休憩。撮影ポイント①周辺にはトイレが無いので、空港まで25分ほど歩いて戻ります。レンタカーの場合、空港周辺が結構渋滞するので注意。

お手洗いを済ませて、涼しい空港のターミナルでちょっと休憩。せっかく北側まで歩いて戻ったので、さらに会場まで歩きます。空港から徒歩5~10分。

LIMA会場前の駐車場は常にキャパオーバー気味。

入場チケットを2日分事前にネットで購入していました。購入時のメールの控えを無言で提示するだけで、入場できます。チケットは現地でも購入でき、その場合名前や住所などを用紙に記入し入場料を支払います。入場料は1日300円ほど。他のエアショーと比べて格安です。もらったリストバントを腕に装着。

荷物検査と金属探知機を通ります。禁煙、ペット禁止、飲食物持ち込み禁止、ドローン禁止、スリッパ禁止まではわかりますが、タンクトップ禁止、半ズボン禁止。でもタンクトップはともかく、短パンの方は多数見かけました。たぶん、トレードデーは厳しくてパブリックデーは緩いんだと思います。

今回はスーツケースなしの遠征。結構大きめのリュックに、望遠レンズや着替え4日分、セノビー(踏み台)などいろいろ荷物が入っていましたが、荷物検査は問題なく通過。

ユーロファイターのモックアップがお出迎え。

展示会場に入ってブースを見て回りましょう。

展示会場はアメリカ、ヨーロッパ、ロシアなどの航空・軍事メーカが多数出展しています。

この展示ホールは涼しいので、ここで飛行展示が始まるまで涼みながらいろいろ見て回ってもいいでしょう。

韓国KAI

中国はCETCやAVICなどが出展。珠海のように、活気があります。

日本も防衛装備庁、IHI、NECなどが出展。ただトレードデーが終わったからなのか、休憩スペースと化してました。そもそも展示ブースが他国と比べて寂しいのですが。

展示ブースからエプロンエリアに出るには、再度検査が必要。といっても、「ピー」と反応しても特にチェックされずにスルーする形だけの検査でした。ただしこの先、水は持ち込めません。また、トイレもありません。

エプロン地区にはフライトが無い多数の航空機が展示されてます。

また、フライトを行う航空機の列線整備の様子も見ることができます。

ただ、パブリックデー前にいくつかの機体は帰りました。E190-E2とか。

会場からは午前中逆光になりますが、午後は順光。

L-39CとIL-76。IL-76はロシアンナイツの支援機なのか、Su-30SMの予備エンジンを搭載していました。

Il-76TD RA-76445。Yak-130の支援機。こちらは民間機。

BAe ホーク200

アメリカ空軍のC-17

タイのJAS 39グリペン

F-18D。マレーシア空軍には8機しかF-18が無いはずですが、この会場に5機も展開しています。国防大丈夫なんでしょうか。

R-77ミサイルなどを搭載したSu-30MKM。Su-30MKMも18機しか保有していないはずですが、7機もランカウイに展開しています。どうせならMiG-29も持ってきてほしかった。

シンガポール空軍のF-15SG

アメリカ海軍のグラウラー

VAQ-132所属の機体です。

MQ-9

Piaggio P-180 Avanti Evo

珠海でも見た中国の無人機「翼竜II」

会場出口付近には多数のグッズ販売の露店。

午後2時半からは、再び撮影ポイント①まで歩いて戻り、ここから撮影。

午前と午後はフライトの順番こそ違うものの、フライトを行う機体や飛び方は同じでした。

ただ、この撮影ポイントは午後逆光です。

16時頃、まだフライトの途中でしたが暑すぎるので撮影を切り上げてホテルに向かうことに。帽子とサングラスは着用していましたが、トイレが近くに無いこともあって水分控えたのがまずかったのでしょうか。ちょっとぐったり気味。空港まで歩いて、空港のタクシーカウンターでタクシーをお願い。通常車で20分ほどのルートですが、LIMA終了後の渋滞に巻き込まれてチェナンまで1時間もかかりました。タクシーの料金は30リンギット(約900円)と格安。

今回ホテルはこちらを利用しました。ホテルはLIMA直前でも空きはありましたが、選択肢が狭まるので余裕を持って早めに予約しておくに越したことは無いでしょう。

【宿泊記】チェナン プラザ ビーチ ホテルCenang Plaza Beach Hotel, Langkawi

2019.04.02

LIMAでは軍艦が集まるイベントも同時開催。リゾーツ ワールド ランカウイResorts World Langkawi では水上機のデモやイージス艦などの一般公開が行われています。フライトの展示終了後にちょっと見に行こうとも思っていましたが、あの渋滞では無理でした。日を分けて訪れたほうがいいでしょう。

集まった軍艦に対して岸壁が少ないので、大半の艦艇は沖止め。リゾート地の美しいビーチには物騒な船が多数。

中国海軍江凱型フリゲート(054A型)岳陽(Yueyang)、バングラデシュ沿岸警備隊PL71 BCGS SYED NAZRUL、マレーシア海軍KD Laksamana Tan Pusmah

韓国海軍 補給艦 昭陽 (ソヤンSoyang AOE-51)。

バングラデシュ海軍BNS SOMUDRA JOY 。海上自衛隊の護衛艦「あさぎり」や、アメリカ海軍のブルーリッジ、イージス艦も参加していたはずですが、見つけられず。

2日目土曜日。今度は撮影ポイント②へ移動。チェナンのホテルからタクシーで直接この撮影ポイントに向かいましたが、タクシードライバーが高齢のおじいちゃん。地図を見せて指さしながら何度も説明したのでですが、わかってもらえず・・・。結局空港周辺を無駄に一周して、チェナンビーチから40分もかかりました。徒歩の場合、空港から歩いて40分ほどです。

この公園は丘の上にあり、空港全体を見下ろせます。美しいオーシャンビューも広がります。

地元民も御用達の様子

ただ最前列はやっぱり望遠レンズを構えた日本人です。

フード、ドリンク、グッズの露店も公園内にあります。でも、これだけ人が集まるのにやはりトイレがありません。マレーシア人ってトイレ行かないんでしょうか。

10時。パブリックデー2日目のフライトがスタート。離陸の様子が見下ろせます。

旋回も手前で行うので、撮影ポイント①より背中が撮影しやすくなっています。

フライトのプログラムは、順番は異なりますが内容は前日と同じです。

フランカーに追われてフレアを撒いて逃げるホーネット。嘘です。

ドラッグシュート展開の様子

テジャスの離陸。後方にはフライトを終えたSu-30MKMとF-18Dのお尻

Su-30MKMソロフライト

A400M

ロシアンナイツ

ロシアンナイツはこれでフライト終了。午後からのフライトはありませんでした。

10時~12時の間、午前中のフライトを楽しみました。

例によって空港まで歩いて、涼しい空港ターミナルビルで休憩と昼食を摂ります。滑走路沿いを歩いていると、フライト予定の無いグリペンが離陸。タイに帰投するようです。メラメラなので証拠写真程度。

午後は滑走路裏手の各種ポイントは逆光になるので、そのまま会場で過ごすことに。暑いので、皆さん機体の下で涼んでました。

天気予報は「晴れ時々雨」の予報でしたが、幸い2日間を通して雨は降らず。無茶苦茶あっついです

フライトの列線を眺めます。

東西混合だと整備員さんも大変でしょう。

F-18Dソロフライト中のベイパーコーン。昨日の午前中から数えて、4回目にしてようやく撮影に成功。

会場からでも背中撮影のチャンスはあります。

16時10分頃。最後はSu-30MKM 4機、F-18D 2機の6機編隊飛行で幕をおろしました。

ランカウイ島から撤収します。クアラルンプールへは17時40分発のエアアジアAK6321 便を利用しました。エアアジア、マーレーシア航空が高頻度でKULとLGKを結んでいます。

今回リュックだけだったので、預け荷物はありませんでしたが、荷物を預ける方はご覧の列なので注意。エアアジアはフライト45分前までに荷物を預ける必要があります。マレーシア航空でも荷物を預けるには同じ列に並ばないといけません。たとえJAL/ワンワールドの上級会員でも。

ランカウイ空港は保安検査を過ぎると売店やレストランがあまり無いので、保安検査通過前の空港ロビーのお土産屋さんなどで暇を潰すのがおすすめ。ところでエアアジアは機内持ち込み荷物に7kgの重量制限があったはずですが、重量チェックが全くありませんでした。そんなものなのでしょうか。

クアラルンプール到着後、マレーシア航空のラウンジでシャワーを浴びて晩御飯をいただき、深夜便のMH88 A380で成田へ向かいました。日本はまだ肌寒いので風邪を引きそうです。

【搭乗記】MH88マレーシア航空 クアラルンプール-成田 A380エコノミー

2019.04.03

ランカウイ、コスパ最高のエアショーでした。2年後のLIMA21にまた来ます。