中国 珠海で開催された珠海エアショー(中国国际航空航天博览会 、China Airshow、Zhuhai Airshow,珠海航展)に行ってきました。公式サイトの情報が少なく、アクセスが難しいエアショーでした。今後のための忘備録として、会場への行き方を掲載します。
目次
珠海エアショーとは
珠海エアショーは、中国国内外で開発された、航空機をはじめとする各種兵器の展示会・エアショーです。約1週間開催され、後半3日間のパブリックデーは一般人も入場することができます。
といっても、当日現地での入場券の販売は無く、すべて事前に中国国内の旅行代理店での販売。ネット販売はあるものの、決済がアリペイやWe Chat Payのみと、日本人には購入のハードルが非常に高いものでした。値段も1日約8,000円。
チケットの購入方法詳細はこちらで解説しています。
会場からは滑走路方向が逆光になるので、撮影がメインなら会場には入らず、会場裏のエリアから撮影するという楽しみ方もあるようです。岐阜の田んぼのような感じです。だたしこちらも難易度が高め(後述)。
2018年のエアショーは、11月6日(火)~11日(日)まで6日間開催されました。私は10日(土)のみの参加です。
日によってフライトのプログラムが異なります。フライトスケジュールは1週間前にならないと発表されませんでした。滞在日にお目当てのフライトがない場合もありますし、展示物が多く見て回るのに時間がかかるので、滞在日数は最低2日間は欲しいところ。
アクセス
珠海エアショーは「珠海金湾空港」という軍民共用の空港で開催されます。この空港、日本から乗り継ぎはしづらいので、香港からフェリーやシャトルバスを利用し珠海に行くのが一般的です。
2018年10月に香港と珠海を結ぶ世界最長の橋が開通しました。香港国際空港から直接珠海に行くには、この「港珠澳大橋」を渡るシャトルバスが便利でしょう。香港観光も兼ねるのであれば、従来通り香港市内から移動できるフェリーが便利です。フェリーの乗り方はこちらで解説しています。
珠海にはホテルが多数あり、エアショー期間中も売り切れることはありません。値段もRIAT期間中のスウィンドンのように高騰することはありません。陸路で中国-珠海に入国できる隣のマカオを拠点にしてもかまいません。今回利用したホテルはこちら。
前日9日(金)の夜にフェリーを利用し香港から珠海へ移動。フェリーターミナル近くのホテルに宿泊。翌朝ホテルのスタッフにタクシーを呼んでもらい、エアショーの会場に向かいました。タクシー乗車時間は約45分。会場までの道路にはエアショー専用車線が用意されており、タクシーやバスは優先して走れるようになっています。特に渋滞はしません。料金は珠海市内から会場前まで150元(約2,500円)でした。ドライバーに英語はあまり通じません。「中国航展」と印刷した紙を見せました。市の大規模なイベントですし、タクシーのリアガラスに珠海航展のポスターが貼られてるくらいなので、珠海航展と見せればあとはうまいこと運んでくれます。
市内にはこの緑色のタクシーがいたるところに走っています。中国はタクシーの相乗りが一般的なようなので、突然別の客を乗せようとしても驚かないように。朝7時15分にホテルを出発、8時頃に会場前に到着しました。
会場外の、トイレが立ち並ぶエリアに降ろされました。会場の中に入りましょう。
入場方法
会場案内図。エプロン地区に多数の航空機が並ぶほか、巨大な展示ホールでさまざまな展示が行われています。
入場ゲートは1,2,3,5の4箇所あるようです。最寄りの2番のゲートへ向かいます。
入り口には記念撮影スポット。みなさんここで記念撮影されていました。
チケットインフォメーションなるテントがありましたが、中は何もありません。そもそもチケットの当日販売は行われていません。
个人票通道(INDIVIDUAL VISITOR PASS)のレーンに進みます。土曜日の朝8時頃で入場待ちの列は無し。待ち時間は0分でした。
まずはチケットの確認。代理店経由で購入してもらったのは電子チケットなので、手元には何もありません。購入の控えなどもありません。チケット購入時、パスポート番号を登録してもらっています。本当に入れるのか不安でしたが、何も言わずにパスポートを見せます。
パソコンで、パスポート番号から購入履歴を調べてくれます。ちゃんと購入した記録があったようで、あっさり通過できました。ちなみに中国、ホテルもタクシーも英語はほとんど通じませんでしたが、この赤いジャケットを来たボランティアスタッフの方々は若干英語が通じます。また、とても親切です。
続いて警察による身分証の確認。日本人はパスポートのチェックがあります。以前参加された方の情報では日本人は顔写真の撮影が必要とのことでしたが、今年は特に不要でした。
最後に手荷物検査。リュックの中には一眼レフカメラ2台と望遠レンズ、標準レンズ、モバイルバッテリー、折りたたみの椅子、ペットボトルのミネラルウォーター、着替え1日分が入っていましたが、特に何も言われませんでした。
以上で、無事に会場に入ることができました。
1日の来場者は8万人。お昼ごろにはこの混雑ぶりです。ぱっと見では日本の航空祭とそれほど雰囲気は変わりません。
廃墟
ちなみに会場に入らずに撮影する場合は、会場向かいにある廃墟の屋上が定番のようです。
会場からデモフライトを撮影すると逆光になりますが、こちらは順光で撮影できます。
この廃墟に向かう道路、早朝に封鎖され検問が行われるので、タクシーやバイクタクシーなどで検問開始前までに向かう必要があります。また、オーナー(?)へ入場料の支払いも必要です。会場の入場料と料金はそれほど変わりません。でもトイレや昼飯もあるんだとか。
廃墟の後方には山があり、こちらも撮影ポイントになっています。廃墟よりは入場料は安いとのこと。
何かあったら長期間スパイ疑惑で拘束されそうな中国で、検問を突破するなんて度胸はありませんでしたので、おとなしく会場から鑑賞します。
飲食・トイレ
会場にはフードコーナーや自販機がありますが、支払い方法はアリペイやWe Chat PayなどQRコード決済。
そのへんの弁当の販売もQRコード決済。先進的なのかそうじゃないのか、いまいちわかりません。現金も使えたのでしょうか。今回の中国遠征、現地の食べ物は怖かったので、すべて日本から持参したカロリーメイトだけで過ごしました。
無料の給水コーナーがあります。また、会場にはトイレが多数あり、並ばずに利用できます。特段汚さも感じません。
地上展示
せっかく会場に入ったので、10時からのフライト開始前に、地上展示を見て回ります。
人民解放軍の機体や、中国国内外の各メーカーの機体が並んでいます。
最前列はごった返すので、人混みに揉まれながらの撮影になります。でも、入間よりはマシ。ブルーインパルスが来る年の岐阜ぐらい。
八一飛行表演隊のJ-10
空軍航空大学 紅鷹飛行表演隊のJL-8。
中国にはアクロバットフライトを専門にする飛行隊が3チームもあるそうです。
J-10B
推力偏向ノズルを搭載したタイプも展示されていたようですが、前日までに帰投していました。
FTC-2000G / JL-9
JF-17 / FC-1。パキスタン軍の機体。
AG-600
Y-5B
WZ-10
Y-20
Y-9
KJ-500
H-6
JH-7
ホンダジェットHA-420。N420HR。ホンダジェット初見が中国になるとは思いませんでした。
CRJ-200ER
奥捷龙航空科技有限公司のオートジャイロ
Pilatus PC-12
Cessna 560XL
Y-12F
Mi-17
Mooney M-20R
Pilatus PC-6
Q-5
その他小型機多数
無人機も多数。一体何種類開発しているのでしょうか。
雲影
AV-500W
翼竜2
TV(TW328) UAV System
TW356
CH-5
エアショーですが車両の展示も充実しています。
各種グッズの販売。
展示ホール
展示ホールも見て回りましょう。展示ホールは朝9時にオープンしました。
空港にビッグサイト並の巨大な展示施設があります。このエアショー以外で使用することはあるのでしょうか。
エプロンから直接自由に出入りできます。
中国内外の企業が多数出展。
ビジネスデーが過ぎ、パブリックデーになると、積極的な製品のアピールはなくなります。
どちらにせよ中国語でコミュニケーションはとれませんので、ホールをぶらぶらして適当に見て回ります。広いので、ちゃんと見て回ると1日かかります。
中国航空工業集団 AVIC
JF-17
FC-31(J-31)、今年は実機の展示は無し
中国航天科技集団有限公司 CASC
CH-7(彩虹-7)
WJ-700
ロケット
宇宙ステーションモックアップ
有人カプセル。本物でしょうか。
短距離弾道ミサイル「B611MR」
長距離地対空ミサイル「FD-2000」
対艦弾道ミサイル「CM-401」
CR929のモックアップ。COMAC C929から名前が変更になっています。
中に入るには行列
ベル
中国電子
中国電子科技集団
紅鷹飛行表演隊ブース
エアチャイナ
ルフトハンザ
スホーイ
ボーイング。中国語では波音と書くようです。かわいいですね。
中国人保控股公司
エアバス
フランスのタレス
無人機やシミュレーターなど、ハイテク化製品が多数展示されていました。
別のホールでは車両がメイン。戦車や装甲車など陸軍向けの兵器が所狭しと展示されていました。
このホール内は大変混み合っており、身動きが取れませんでした。奥へ進まず早急に退散しました。
飛行展示
10時頃から、フライトが始まります。本来会場からは逆光になりますが、この日は曇りでした。
ちなみに中国人も、そこそこの望遠レンズを使ってガッツリ撮影します。たまに海外エアショーである、望遠レンズを持ってるのが日本人ばかりで浮くといったことはありません。
軍民両用の空港ですので、民間機も合間合間に飛びます。
フライトスケジュール。公式サイトに1週間前に掲載されました。2年前はレッドアローズ、ロシアンナイツ、ブライトリング・ジェットチームが参加しましたが、今年のプログラムはイマイチぱっとしません。
この日最初のフライトは八一飛行表演隊
J-10戦闘機を使用しています。
雲が低かったためか、演目は水平の編隊飛行が中心でした。多分ブルーインパルスでいう5区分相当。
黄色や青のカラースモークを使用します。
まわりの中国人、スモークが出るたびに歓声が上がります。こういう反応があると、見ていて楽しくなります。
続いて紅鷹飛行表演隊
JL-8(教練8型)という練習機を8機使用します。
このチームはヨーロピアンアクロ風。八一とおなじく中国人民解放軍のチームですが、芸風がかぶらないようになっています。
サウジアラビアのサウジホークスが事故のためかキャンセルとなったので、このチームでヨーロピアンアクロを補充。
まだ歴史は浅いですが、この曇り空でも見ごたえのあるフライトを実施するチームでした。
お待ちかね、真打ち「J-20戦闘機」登場。
珠海エアショー期間中、毎日飛んでました。
この日は2機が飛来。
会場正面を数回フライパス。会場側には腹しか見せてくれません。やはり背中を撮影するには前述の廃墟に行かなければいけませんでした。
翌日11日には4機が飛来。カーゴベイを開いてのフライトも行われたようです。
15分ほどのフライトでした。
AVICのLE-500
パキスタン空軍JF-17
正面から見ると、Mig-21が原型とは思えません。
キビキビとした動きを見せてくれました。
15時頃、すべてのフライトが終了しました。
帰路
珠海市内へ向かうバスの様子。
フェリーで香港に戻るため、九洲港へ向かいます。面倒なのでタクシーを利用します
このイベントに「タクシー乗り場」という概念は無いようで、会場前を走るタクシーを自分で捕まえる必要があります。ですが帰りのタクシー、料金はすべて言い値のようです。タクシーをとめて「九洲港」と書いた紙をドライバーに見せたところ、「サンパイイエン(300元)」との返答(中国語)。日本円で約5,000円。来たときの倍の料金。どのタクシーも英語が通じませんし、中国語で値段交渉するスキルもありませんし、楽して帰れるのであればと、300元で了承しました。
16時頃に会場周辺を出発し、九州港についたのが16時45分頃でした。帰りも特に渋滞せず45分で到着。倍の値段を提示してきたタクシーの運ちゃんですが、鼻をかんでいたらティッシュを差し出してくれたり、英語でなんとかコミュニケーションを図ろうとしてくれたりと、そんなに悪い気はしませんでしたので素直に300元支払いました。
フェリーで香港に戻り、翌日香港観光を楽しんでから日本に帰国しました。